私的参拝

オレは一度だけ、靖国神社に参拝に行ったことがある(「見物」に行ったことなら、何度もある)。何人かの友人と初詣を兼ねた宴会をすることになり、そのときの主賓が市ヶ谷在住だったので、「JR市ヶ谷駅からいちばん近くにある神社」としてたまたま靖国を選んだだけにすぎないのだが。
そのときにも、そしてそれ以前に「見物」したときにも感じたのだが、靖国は徹底的に「西洋的」な神社である。あくまでもシンメトリカルに配置された各種の建造物や、第一鳥居から本殿までを一直線に突き進んでいる参道は、日本のどんな伝統的建築物よりもパリの凱旋門通りを連想させる。このあまりにも19世紀ヨーロッパ的な神社を崇め奉るくらいなら、もっと純和風の戦没者追悼施設を新しく作ったほうが、いにしえの日本人たちの魂も慰められるのではあるまいか。
ちなみに靖国神社が持つ「いかかがわしさ」や「悪場所としての魅力」に興味があるひとなら、以下の本をぜひ。

靖国 (新潮文庫)

靖国 (新潮文庫)