吹雪物語

お母さんは「赤毛のアン」が大好き (角川文庫)

お母さんは「赤毛のアン」が大好き (角川文庫)

吉野朔実による、ちょっとテンションが低めの読書エッセイ。ある種のファッションとして二見書房のバタイユ全集を読むのは、オレよりもさらに若いひとには理解できない感覚なのだろうなあ。
あと坂口安吾の『吹雪物語』(ISBN:4061960636)が「驚異的駄作」として2度ほど取り上げられているのだが、これはそれほどつまらない小説だろうか。この時期の安吾に本格的な長篇小説を書くだけの技倆がなかった*1のはたしかだが、その辺を割り切ってしまえば意外と面白く読める。「その辺」とはどの辺なのか、「その辺」を割り切ってまで読む価値があるのか、などと問い詰められると困るのだが、作者みずからが失敗作だと公言したせいで、必要以上に冷遇されている気がするのだよ。

*1:もとより長篇向けの作家ではない気がしなくもない。