マザコンと破滅

『聖の青春』が面白かったので、同じ著者による『将棋の子』(ISBN:4062737388)を読む。情緒過多の文体は相変わらずだけど、ゲームとしての将棋ではなく、人間ドラマとしての将棋界を描くには、この文体がふさわしいのかもしれない。なまじ「理解のある」両親のもとに育てられたため、社会性を身に付ける機会をまったく持たずに成人し、ずるずると破滅していく成田英二のすがたに、思わずわが身を省みてしまうマザコンブロガーは多いはずだ。ひとはいったいどういう手続きを経て「プロ」の棋士になるのか、基本的な情報を知りたい向きにもお薦め。