みんな死んだらひとりで帰る

物語のようにふるさとは遠い

物語のようにふるさとは遠い

数年前から再発されるかも、と噂になっていた作品だが、今年になってようやく再発された。アマゾンのデータベースでは「アーティスト:富岡・多恵子」となっているが*1、作曲と編曲を手掛けているのは坂本龍一。アレンジやシンセサイザーの音色は当時の大貫妙子矢野顕子との仕事でも聴けるもので、目新しさはない。しかしそこに富岡多恵子の地を這うようなボーカルがからまると異化効果が起きる。特に「その日は明るい晴れた日だった」は曲がポップで明るいだけに、効果も強烈。
このアルバムの存在はむかしから知っていたのだが、坂本龍一は淡々と「ピアノ伴奏」に徹しているだけだと思っていた。ところが素晴らしく狂った内容だったので、驚くやら何やら。うまく感想が書けない。ともあれ坂本、富岡のいずれかの熱心なファン(両方のファン、というひとはなぜかあまり想像できない)であれば、聴いて損はないはず。

*1:このナカグロはどうにかならんか。