無視されていただけ

ゴルゴ13はいつ終わるのか? 竹熊漫談

ゴルゴ13はいつ終わるのか? 竹熊漫談

ちびちびと読み進めて、ようやく読了。前にも書いたけど、竹熊健太郎の文章には「イケてる」ひとたちに対する屈折した対抗意識がなく、それが読後感の爽やかさにつながっている。

 よくオタクで「サブカルはオタクを差別している」みたいなことをいう人がいるんだけど、これは僕にいわせると誤解でさ。第一世代オタクは「大人」からは確かに差別されたかもしれないけど、同世代のサブカル系の人たちは、オタクを「無視」していただけでべつに「差別」はしていなかったはずだから。ただ「無視された側」が勝手にいじけて、それを「差別」だと錯覚しただけでさ。本質的に、そこで生じていたのはオタク側の一方的な「嫉妬」だったと思いますね。九〇年代以降の事情はわからないけど、少なくとも八〇年代までに限っていえば、そうだと思う。(p187)
世間的にはオタクの代表格のように扱われているひとに、こういうフラットなことを言われると非常に困る(笑)。まあ、キャラクター主導型の「萌え」文化にあまり関心がなく、漫画でもアニメでもストーリー性の強い作品をよしとする竹熊氏が、果たしてオタクなのかどうかという疑問は残るのだが。