電脳筒井線

電車男』のヒットやライブドアパブリッシングの設立やココログブックス・コンテストめぐるトラブルといった耳目を集める話題が多いためか、ネット発の出版物について語られる機会が増えているが、『電脳筒井線』に触れているひとが少ないのはなぜだろう。アスキーアートも含めてパソコン通信の会議室の雰囲気が忠実に再現されているあたり、『電車男』の先駆と言ってもいいのだが*1。『朝のガスパール』が連載されていたころのオレはネットを利用しておらず、ゆえに『電脳筒井線』のもとになった会議室にも参加していないのだが、それでも『朝のガスパール』とは無関係な独立した著作として面白く読めた。

ちなみにこの本は、どういうひとがどんな発言を繰り返すとネットが「荒れる」のかに関する、興味深いケーススタディにもなっている。竹熊健太郎太宰治の「如是我聞」を「ネット論争の教科書になるかも」と紹介しているが(これにはかなり同意)、『電脳筒井線』もぜひどうぞ。


電脳筒井線―朝のガスパール・セッション

電脳筒井線―朝のガスパール・セッション〈PART2〉

電脳筒井線―朝のガスパール・セッション〈完結編〉

*1:なお『朝のガスパール』と『電脳筒井線』については、Wikipediaの解説に詳しい