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滝本竜彦・原作/大岩ケンヂ・作画『NHKにようこそ!』第1巻(ISBN:4047136360)を読む。原作となった小説は未読*1なのだが、主人公がひきこもりになるまでの過程が大雑把で、いまひとつ説得力を欠いているように思えた。設定や世界観の面白さを重視するあまり、「なぜそのような設定/世界観を採用したのか」をしっかり説明しないのは、アマチュアが書くミステリやSFの通弊として以前から指摘されていたことではあるが、商業出版レベルでそれが「アリ」になったのは、今日的といえなくもない。みんな、堪え性がなくなっているのね。

ところで「舞城王太郎芥川賞受賞をみなが心待ちにしていたのは、NHKのアナウンサーが『好き好き大好き超愛してる。』と真面目腐った表情で口にするのを楽しみにしていたからだ」とどこかで書かれていたが、『NHKにようこそ!』が手塚治虫賞なんぞを受賞したら(ありえそうにないけど)、NHKではどのように報道するのだろう。ま、すでに『ETV2000』あたりで斎藤環が取り上げている気もするのだが。

*1:しかしこの「未読」という言葉は、一部のパソコン通信ユーザーのあいだで使われるようになるまでは、日本語として定着していなかったのではあるまいか。