郡山くんと岡さん

郡山総一郎×岡真理「イラクで何が起こっているか」聴講記録

イラクで拘束された例の3人のうちのひとりである郡山総一郎の講演会(聴き手:岡真理*1)の速記録。


僕はフリーのフォトジャーナリスト、と報道されていますが、本当はパートタイマーフォトジャーナリストです。
というユーモアに満ちた自己規定からはじまる講演は、これまで報道されてこなかった(あるいはネガティブなイメージで報道されてきた)例の事件をめぐるさまざまな「真相」が、深く掘り下げられて語られている。

講演を読んで伝わるのは、郡山氏がかなりの「オッチョコチョイ」であることだ。しかししつこく繰り返すが、オッチョコチョイが率先して行動を起こすことによって、世の中の何かが変わることだってある。ここで「アンガージュマン」だの「世界との能動的なかかわり」だの「実存は本質に先行する」と言い出すと、「サルトルの解説書を読んだからといって、安易にサルトルに影響されてるんじゃねえよ」と鼻で笑われるかもしれない。だが「こういう『運動』は真面目なひと、清廉潔白なひと、『プロ』としての実力を持ったひとしか参加してはならない」といった言説に対しては、「ちょっと待てよ」と思うのだ。ロバート・キャパだって一ノ瀬泰造だって、「写真の世界で成り上がることしか考えていないオッチョコチョイ」だったのかもしれないのだから。

*1:オレはこのひとを、てっきりフェミニズム文学理論が専攻だと思っていたのだが、本来の専門分野は現代アラブ文学なのね。おのれの無知を恥じる。