ナニワブシだよ、学問は

音楽著作権の誕生:二つの「著作権」と浪花節に出席。

マスダ氏の講演は、大陸的な"droit d'auteur"と英米的な"copyright"の混同、およびそうした近代的な諸権利と日本の伝統音楽の構造の馴染まなさが、音楽著作権に関する議論が混乱している原因になっているのではないかと指摘する内容。まあ、サイトや論文でいつも読んでいる話ではあるのだが、次第に語り口が洗練されていくのを感じる。名人の話芸の領域、と言っては誉めすぎか。しかしフランス語はもう少し勉強したほうがいいのではないかと(笑)。

講演のあとは太田ももこ氏と吉田静氏による浪花節「神崎東下り」の実演。浪花節を聴くのははじめて。最初は「楽曲」を「鑑賞」する態度で臨んでいたのだが、それだとあまり面白くない。しかし地の文、通常の科白、聴かせどころとなる科白でそれぞれ声調が異なり、聴かせどころとなる科白がわれわれがふだん「音楽」と呼んでいるものに比較的近い、といったルールが理解できるに従って面白くなり、最後はけっこう真面目に感動してしまう。

JASRAC主催のレセプションが終わってからは、代々木上原駅前の居酒屋でマスダ氏の知り合いの皆さんと呑む。id:shinimaiさん、id:nagataさん、asさん、細川修一さんとは初対面。今年の4月で個人サイトを始めてから満8年になるのに、いまだに初対面のひとから「日記を毎日読んでいますよ」と言われると赤面する。そして酔った勢いで、間抜けな発言を繰り返すオレ。

途中からJASRACのひとが顔を出す。『著作権の考え方』[amazon]を読んで以来、オレのJASRACへの評価はいささか好転した。仕事でJASRACと交渉したことがあり、その結果として悪印象を抱いているひとならともかく、二次情報にもとづいた漠然としたJASRAC批判を展開しているひとは、いささかアンフェアなのではあるまいか。今日の宴席で話された内容とは、あまり関係がないのであるが。

三次会では細川さんをだいぶ遅くまで引き止めたあげく、中途半端な時刻に散会する。だらしない年上でごめんなさい、細川さん。ともあれ日本で本気でカルスタをやるなら、プログレとSFとズリネタなのである、プログレとSFとズリネタ。