モンゴルの不幸とハワイの幸福

朝青龍が全勝優勝。めでたい。われながら凡庸な指摘だが、顔が下手な日本人よりも日本人らしいのが、モンゴル出身の力士の不幸ではないのか。見る側が「失われてしまった日本人の原像」みたいなものを勝手に期待しがちだというか。その点、ハワイ出身の力士は見た目がすでに「異物」だったため、もし逸脱した言動があったとしても、それゆえに愛され、支持されるという構造があったような気がする。もちろん批判もあったが、そうした批判を無効化させるほど、小錦や曙には「異物」としての存在感があったのだ。

そして外国人力士を「日本人よりも日本人らしい」という理由で評価する嚆矢は、高見山小錦、曙よりもはるかに日本人らしい顔立ちをしていた武蔵丸にはじまるのではないか。