青い鳥文庫

そんなこんなでいまどきの講談社ノベルスライトノベル風のイラストには違和感があり、なかなか手に取る気になれないオレだが、過去の日本SFの名作をティーンエイジャー向きの装丁で復刊する講談社青い鳥文庫の戦略は、まったくもって正しいと思ってしまうのであった。『三丁目が戦争です』や『空中都市008』や『ねらわれた学園』を、「いま」の作品として楽しめる小中学生が羨ましい。あとはあさりよしとおがイラストの、石川英輔のタイプスリップものとかね。これらをきっかけに、立派に道を踏み外してくれたまえ。

まあ、何といっても注目すべきなのは、かんべむさしがいにしえの名作短篇をリメイクした『笑撃☆ポトラッチ大戦』に違いない。読んだことがあるようで、じつはなかった『ねらわれた学園』(イラストは緒方剛志!)と合わせて、アマゾンでさっそく注文してしまったよ。

しかしかんべむさしは純然たるSFを書かなくなって久しいはず。「SF勘」みたいなものは果たして戻っているのであろうか。ただでさえ文章や構成はさほど上手ではなかったこともあって、いささか心配。