マニフェスト

今回は特にこれといった争点のないまま、なし崩し的にはじまった選挙だという印象が拭えず、いまひとつ投票に行こうという気が起きなかった。おまけに仕事の忙しさならびにその他の事情で、不在者投票もままならず(そもそもオレは10年に1回ぐらいしか国政選挙に行かない)。

夜中になって全議席数が確定されたあと、民主党マニフェスト「はじめに 菅直人から国民のみなさんへ」を読む。


 私は、政治の目標は「最小不幸社会」の実現と考えています。国民の中には「不幸」に遭遇している人たちがいます。そして、人々が「不幸」になる原因はさまざまです。その原因を、政治の力、つまり「政権」がとり除けるものはできるだけとり除き、「不幸」を最小化すること、それが政治の目標だと思います。

 なぜ「最大幸福」と言わないで「最小不幸」と言うかといえば、病気や貧困といった「不幸」の原因は相当程度「政権」の力でとり除くことができますが、「幸福」のかなりの部分は、恋愛や美意識といった「政権」という権力が関与すべきでない分野の問題であると考えているからです。一部の人が無理に「幸福」を押しつけようとして「政権」の力を行使すると、そこには一種の強制や独裁が生まれます。政治権力は人の生死をも左右する強制力を伴うものだけに、その行使は人々の「不幸」の原因を最小化することを目標とすべきであり、美意識のような個人的選好に属する「価値」の実現を目標とすべきではないというのが、私の政治に対する基本的哲学です。
何と恰好のよい言葉ではないか。オレの政治観とも、若干似通っている。このマニフェストを事前に読んでいたら、万難を排してでも投票に行ったであろう。

社民党共産党がそれぞれひとケタの議席しか獲得できず、おまけに土井たか子小選挙区から落選したというのは、「革新勢力」という言葉にまだリアリティーがあった時期を知っている者としては、いささか淋しくもあり。