巨怪伝

いかにも「硬派ジャーナリストでござい」といった文体に若干馴染めないものを感じつつも、『巨怪伝』をちびちびと読み進める。正力松太郎がなぜあれほどまでに共産主義を敵視したのか、判るようで判らない。オレなりに解釈すれば、刻苦勉励型で「イケてない」キャラクターだったこのひとは、単に「都会で流行しているちゃらちゃらした先端思想」が嫌いなだけであって、イデオロギーとしてのマルクス主義の是非はどうでもよかったのではないか。いわゆる「左」のひとにかぎって私生活は享楽的で(当時なら大杉榮とかね)、「右」がそれを苦々しく見つめているという図式は、いまでもある程度は通用するのかもしれない。