宿命の女

そして結局はファム・ファタールを観る。殊能将之みずからのサイトで「御都合主義でかまわない部分はもちろん、御都合主義であってはならない部分まで思いっきり御都合主義なのは、デ・パルマからしかたない。許してあげてください」と評しているが、まあ、そういう映画である(感想になっていない)。ミステリやSFの世界では「禁じ手」になっているある手法が堂々と使われており、ラスト近くになって呆然となる。それが奏効しているかどうかは微妙なところ。基本的にはバカ映画なので、あまりオシャレっぽさを期待しないで観に行ったほうがいいだろう。

坂本龍一のスコアは「シェルタリング・スカイ」以降、病み衰える一方だが、後期ブラームスヴェーベルンの路線を狙っているのか、それとも本当に創作能力が枯渇しているのか、にわかには決めがたい。