バカの大関

真剣師 小池重明』読了。オレも活字や映像の上ではさまざまなダメ人間に接してきたが、小池重明はそのなかでも「バカの番付ができればお前は大関、間違いなし」の真性のダメ人間であり、エド・ウッド太宰治も彼の前ではかすむ。しかしこの「ダメさ」はオレもまた共有しているものであり、最晩年、死の恐怖に取り憑かれて発狂に追い込まれるエピソードなど、他人事とは思えない。

オレは将棋に関しては「とりあえず駒の動かしかたは知っているが、その先にはまったく上達できない」という永遠の初心者であり、実際に棋譜を見ても小池の「一種、異常感覚」な冴えは理解できないであろう。それがなんとも悔しい。