唐獅子

「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」(佐伯清、1966年)[amazon]

偉大なるワンパターン。最後の出入りで池部良はかならず死ぬし、健さんは絶対にどこかに立ち去っていく(ところで「悪人どもを成敗したあと、いずこにか旅立つヒーロー」という物語類型は、何がオリジナルなのだろう)。でもこのシリーズはこれでいいのである。ただ健さんがライフルをぶっ放すシーンはちょっと意外。それから佐伯清が監督した「残侠伝」シリーズは、労働者礼讃的な色彩が強い。かなり親ソ的な監督だったのではなかろうか。そしていまの日本映画でもっとも精力的に「労働者礼讃映画」を撮り続けているのは、宮崎駿なのであるが。

津川雅彦という俳優にはあまり関心がなかったのだが、昨日の「狂った果実」でも今日の「唐獅子牡丹」でも、弟分役を好演していた。何年か前のNHK大河ドラマでこのひとが徳川家康役を演じたときに、オレはちょっとした違和感を覚えた。津川雅彦は基本的に公家顔なのである。それなのに武家を演じていたから、適役ではない印象を受けたのだ。