平凡な駄猫です

今月の9日にキャリーバッグのなかから逃げ出してより行方不明で、もはや今生では再会できぬものとあきらめかけていた春野が、近所のマンションの駐車場で無事に発見される。発見者のかたは、オレの作ったポスターのニャン相書きを見てぴんと来たらしい。そう思ってポスターを読み返せば、春野という猫の特徴を的確かつ簡潔に捉えた名文であり、物書きとしてのオレのキャリアはここに窮まったと言ってよい。ノラちゃんが戻ってこなかったことを考えれば、

三たび
迷ひ猫について皆様にお願ひ申します。家の猫がどこかに迷つてまだ帰つて来ませんが、その猫はシヤム猫でも、ペルシヤ猫でも、アンゴラ猫でもなく、極く普通のそこいらにどこにでもゐる平凡な駄猫です。
という百鬼園先生の文章よりも名文である(しかしこうやって書き写すと泣けますね、これは)。ああ、よかった。