泥棒はやっちゃいかんよ

最初は気付かなかったのだが、何だか部屋の様子がおかしい。居間として使っている部屋の窓ガラスが割れ、クレセント錠が開錠され、窓が20センチぐらい開いている。東京滞在中にこの部屋をたまに借りていた妹が、間違って何かをぶつけて割ったのかな(いくら何でもそんなことをしたら、こっちに連絡するはずである)、野球のボールがぶつかったのかな(アパートの近辺には野球やサッカーができるようなスペースはない)、といった非現実的なことを最初は考える。

空き巣が入ったのだな、ということに気が付くまでに、数分を要する。幸いにも何も盗られていなかった(というか、窓が途中までしか開かなかったので、部屋に侵入すること自体ができなかった模様。立て付けの悪さが幸いした)が、どうしたらいいのか判らずに立ち往生。とりあえず不動産屋まで行く。警察に行って被害届を出して事件の受理番号というものをもらって、現場の写真を撮影してガラスを修繕した業者の領収書をもらえば、修繕費は保険から全額支給されるとのこと。

そこで不動産屋のすぐ近くにある江古田駅前の交番に立ち寄り、おまわりさんにアパートまで来ていただく。被害届って、ものすごく細かいことまで書き込むのね。警察関係者に「職業は何ですか」と訊かれて「文筆業です」と答えるのは、微妙に気恥ずかしい。しかしこんな被害総額ゼロの事件まできちんとフォローするなんて、所轄の仕事は大変ですよね、と、思わず「踊る大捜査線」みたいなことを考える。

そんなこんなで交番と不動産屋とアパートを何度か往復して、肉体的にも精神的にもかなりへたばる。夜中になってようやく復調して、明日朝までに送らないといけないイラストレーターさんへの指示書を送信して寝る。