The Great Escape

大脱走」(ジョン・スタージェス、1963年)[amazon]

内田さんによるあまりにも綺麗に「着地の決まった」作品分析を事前に読んでいたせいで、逆にストーリーに集中しきれないままに終わる。思ったよりも演出が地味だった。

ところでダンスミュージックに関するドキュメンタリーを見ていると、「オレたちはescapeするために音楽を聴いているんだ」という発言を耳にする機会が多い。日本語字幕では「escape」は「現実逃避」を訳されることが多いのだが、これはもうちょっと積極的な意味合いを持った言葉なのではなかろうか。「いまいる世界ではない、もっと別の世界にアクセスする」みたいな。ドイツの捕虜収容所からの奸智を尽くした脱出劇を描いたこの映画の原題が「The Great Escape」であることが、「escape」の持つニュアンスを理解する上での一助となるような気がする。

というような話を滔々と語る人間にかぎって、じつは英語が苦手だったりするわけなのだが。