著作権

著作権の「危機」って何だ

山形浩生の文章はどうにも苦手なのだが、このコラムは短い字数のなかに問題点が判りやすく整理されており、好印象。それにしても「自分の著作が、他人の著作の複製翻案でないことを示す必要が出てきた」とは具体的にどういうことなのだろう。「この本は純度100パーセントのオリジナルな本なんですよぉ」とか奥付にクレジットしなけりゃならんのか?

同じことを何度も書いていて恐縮するが、著作物においては隅から隅までオリジナルなものが偉いわけではないし、最初に思いついた人間が偉いわけでもない。交響曲という形式を最初に考え出した作曲家が、ベートーヴェンブルックナーマーラーよりも「偉い」はずがないだろう。しかしいささか度を越した「パクリ」告発合戦(2ちゃんねるでよくありますよね)に見られるように、いまどきの知的大衆諸氏は著作物に対するおおらかさを失いかけているのではないか。それってあんまり幸せな事態じゃないよなあ。