アフガニ

深夜特急』はインドを越えて中央アジアに入る。アフガニスタンがえらく牧歌的で詩情に満ちた国に描かれているので、複雑な気分になる。いま行っても、同じ体験はできないのであろうけれども。いったい「『絹の道』の中でも有数なものなのではないかと思えるほど美しい」、「こころに沁みいるよう」な「アフガニスタンの風景」を台無しにしたのは誰なのか。旧ソ連か、アメリカか、はたまたイスラム原理主義者なのか。そのすべてであって、そのすべてでないのだろう。

それにしても東南アジアならともかく、中央アジアとなると地理がさっぱり把握できない。中国、ロシア、インドといったデカい国ならともかく、バングラデシュパキスタンやネパールとなると、「インドの北っぽい感じがするけど、違うかなあ」ぐらいのイメージしか持てないのだ。ソ連崩壊後に誕生した国に関する知識にいたっては、ほとんどゼロに近い(これは1990年以前に大学に入学した者の悲劇である)。これではいかん。ちゃんとした世界地図を買わねば。オレも新宿の書店で、頭蓋骨のかたちをしたアフリカの地図を買うのだ。