切株やあるくぎんなんぐんのよる

と、昼間は何となくへらへらすごしたのだが、金曜までにはネタ出しをしないと進行が遅れまくってしまう仕事になかなか手が付かず、あるくぎんなんぐんのよるとなる。

ちなみに「切株やあるくぎんなんぐんのよる」は加藤郁乎の句であり、加藤郁乎が何者であるかについては、澁澤龍彦好きの友人知人に聞いていただくとして、この句は「歩く銀杏 銀の夜」というファンタスティックな光景としても、「或る苦吟難吟の夜」というゲージュツカの苦悩に満ちた日常の描写としても解釈できるところに妙味がある、とオレはむかし小林恭二のエッセイで教えられたのだが、その当時からオレは「苦吟難吟」という日本語が実際にあるかどうか疑問に感じており、さっきGoogleで検索してようやくこれがちゃんとした日本語であることを知ったのだが、だからといってオレ自身のあるくぎんなんぎんのよるに終止符が打たれるはずもなく、気が付けばもう夜は白々と明け始めているのであった。