レニーとマイルス

バーンスタインマイルス・デイヴィスは、何だかキャラクターがかぶる。以下、思いつくままに共通点を列挙してみよう。

中産階級のインテリボーイなのに、タフガイを演じようとしたこと。活動が多彩すぎるため、全体像が見えづらいこと。「誰でも知ってるポピュラーな名作」が意外と少ないこと(「ウェスト・サイド」は例外)。何をやっても頭でっかちで、理屈先行に感じられること。社会的成功を得てからも人種・民族の問題で悩み続けたこと。作風が一貫せず、つねに迷いが見られること。極端にアバンギャルドな音楽には否定的だったこと。私生活が破滅的だったわりには、そこそこ長生きしたこと。場合によって、左翼に見えたり神秘主義者に見えたりすること。

総じて「20世紀がかかえる問題」と「アメリカがかかえる問題」を真面目に引き受けてしまったせいで、やっかいな生きかたしかできなかった気がするのだ。もうちょっと頭が悪かったら、いまごろ幸せな晩年を迎えていたはずなのにね。