「コンヴァト」

昨日の夜から久しぶりに喘息の発作を起こす。練馬駅北口の呼吸器科に行って気管支拡張剤をもらう。帰りに昼食を食べつつ以下を読了。

のだめカンタービレ(20) (KC KISS)

のだめカンタービレ(20) (KC KISS)

「自分のアイディアのほうが面白い」と言い張って直属の上司や担当編集者を困らせてきた過去のあるオレとしては、のだめが規律訓練的に「ふつうの」ピアニストになっていく展開がちょっと残念。でもこれが「大人になる」ということなのだろうな。するとおれはいまだに青二才だ。
そんなわけで成熟とは無縁のままにくたばったグレン・グールドの演奏で第118話に出てきたベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタを聴きたくなったが、CDが見当たらない……。
ベートーヴェン:Pソナタ30他

ベートーヴェン:Pソナタ30他

ベートーヴェン:Pソナタ第30

ベートーヴェン:Pソナタ第30

(ジャケットが違うだけで、内容はどちらも同じ)
ところでこの漫画の登場人物はパリのconservatoireを「コンヴァト」と略しているのだが、これは日本の音楽関係者だけなのだろうか。baccalauréatを"bac"、facultéを"fac"(ここで英語と日本語しか知らない日本人はぎょっとする)と略する伝法に従えば、フランス人は"cons"やconserv"と略している気がする。確証はないし、知ったところで何か得をするものでもないが。

R.I.P.

今日の朝日新聞をめくったら、高橋安光先生の死亡記事が載っていた。いつも無礼なオレだが、じかに謦咳に接したひとにはさすがに「先生」を付ける。享年83歳。国立大学を定年退職してから私立大学に再就職するというよくあるパターンで、オレはこのひとの講義を受けたことがある。一般教養でプルタルコス英雄伝を輪読する形式であった。何の科目だったのか、なぜフランス思想史が専門のひとがプルタルコスを教材に選んだのか、いまとなっては記憶が曖昧である。
テストはすべてカンニング可で(ただの自慢だが、オレはひたすらカンニングされる側であった。オレの模範解答のおかげで卒業できた者は多いはずなのだから、もっと感謝されてもよい)、三島由紀夫とは大学の同期で学生時代に一夜を共にした(文字通りの意味であり、それ以上の含みはないと思う)のを懐かしく回想するなど、旧制高校的放埓さを感じさせる数少ない先生であった。オレがヴォルテールに関心を持つようになったのも、このひとのおかげである。ご冥福をお祈りする。
いま検索して知ったのだが、下のような著作を残している。わりと面白そうだ。

旅・戦争・サロン―啓蒙思潮の底流と源泉

旅・戦争・サロン―啓蒙思潮の底流と源泉