確定申告にはいつまで経っても慣れない

膝に乗って知的生産活動を阻止する猫

明けがたから雨。東京に戻ってから、いちばんの悪天候。週明けまで引き伸ばそうとしていた確定申告を今日中に済ませようといきなり決意し、まずは税務署に電話する。住民票が練馬区小竹町、同区旭丘にあった時期は練馬東税務署で納税していたが、同区豊玉北に移り住んでいるいまも東税務署であった。てっきり西税務署になると思っていた。もっとも去年の収入はすべて新潟市西区での労働で発生したものなのだから、東京に税金を納めなければならぬ義理はないのだが。税制の不思議を感じる。オレがおかしなタイミングで引越しただけなのだが。
しかしいくら病気療養中であったとはいえ、去年の年収は低すぎる。ワーキングプアなどといって済ませられる額ではない。今年はしっかりしよう。いや、本気で。

きゃらくてーる☆しのわ

最近、Twitterで英語やフランス語を書き込むのがちょっとブームになっているのだが(ただし日本人同士で。本当は外国人の友達を増やそうという目論見があったのだが、完全に逸脱している)、140字という制限があると、フランス語ではあまり内容のあることを書けないのに気付いた。「お前のフランス語の実力がその程度だからだろう」と反論されるかもしれないので、客観的な説明を足す。すでに利用しているひとなら知っているように、Twitterは1バイト文字(アルファベット、算用数字など)でも2バイト文字(漢字、ひらがな、ハングルなど)でも、140字までしか書き込めない。この時点で2バイト文字の文化圏に住んでいる人間は得をしているわけだが、より根本的な理由があるのではないか。
たとえば英語やフランス語における"machine"に相当する日本語は「機械」になる。一見すると「機械」が"machine"よりも複雑で習得が困難に思えるが、「機械」は4バイトで、"machine"は7バイト。コンピューターにとっては"machine"は「機械」よりも1.75倍ほど「大きい」ことになる。さらに実際の文章ではここに冠詞が加わるのだから、2倍以上の差が出る。ちなみに「差」は2バイトだが、"différance"は……はデリダの造語であって(こちらを先に覚えてしまうのだから、ニューアカデミズム経由でフランス語を学んだ人間はどこか頓珍漢である)、"différence"は10バイト。ここにいたっては5倍もの違いが出てくる。
安易な日本語礼讃には同意したくないし、言語学者でも文法学者でもエンジニアでもないからこのくらいで撤退するが、短い文字数しか書き込めない場では、アルファベットよりも漢字のほうが多くの情報を伝えられるのではないだろうか。「アルファベットのひと文字はただの記号だが、漢字のひと文字には物語が込められている」と語ったのはボルヘスであったか。"Y"がフランス語では「イグレック」と発音されるようになった過程を考えると、アルファベットにだってちゃんと物語があるではないかと反論したくなるが、ヨーロッパで漢字が恒常的に流行している背景には、こういう事情があるのではないかと個人的には推測する。