Amis de la science et de la volupté

新しい部屋に5分で馴染む馬鹿猫

実家で療養しているあいだは友人宅に預けていた愛猫の春野を、1年3ヶ月ぶりにようやく引き取る。こいつと生活するために東京に戻ってきたようなものであるが、不思議と「感激の対面!」という気持ちにはならず。あるべきところにあるべきものが収まっただけ、という感が強い。猫が不在だったこれまでの生活が異常だったのであり、ようやく正常になったのだ。
ちなみに見出しはボードレールの詩からの引用。「(猫は)学問と悦楽の友」といった意味。"silence"(沈黙)だと間違えて覚えていたが、"science"(学問)なのね。「サイエンス」(フランス語だと「シアンス」)は自然科学を指す印象が強いが、ここはもっと幅広く学問一般を指すと解釈したほうがいいだろう。堀口大學が訳した新潮文庫版を持っているが、実家にあるので彼がどのように訳しているかは確認できない。

悪の華 (新潮文庫)

悪の華 (新潮文庫)

いまではムンクの絵が表紙になっているのか。19世紀中庸のフランス人の詩集を、活躍していた時期がまったく一致しないノルウェーの画家(ボードレールが死んだとき、ムンクはまだ3歳だった)の絵で飾るのは、ちょいとミスマッチな感がある。とかいって、この絵がボードレールの作品にインスピレーションを受けて描かれたとするのなら、こちらのとんだ勇み足だが。

「もとが良くないからこそ!!/着飾るんだろうが!!」

となりの801ちゃん 2 (Next comics)

となりの801ちゃん 2 (Next comics)

読了。ファッションに無頓着なチベくん(主人公)を恋人の801ちゃんが「もとが良くないからこそ!!/着飾るんだろうが!!」と説教するシーンで笑ってしまう。何となればオレの父親もオレ自身も、「せっかくもとがいいのだから、ちゃんとした服を着ればいいのに」と母親や妹を嘆かせたからだ。しかしオレは「もとがいいということは、大して珍妙な服を着ないかぎりはそれなりに女性から好感を抱かれるだろう」と慢心し、気が付けば37歳独身ひとり暮らしとなっている。
ちなみに身長は六尺に一寸ほど足りず、体重は十六貫ちょうど、顔立ちはhttp://yskszk.org/img/yskszk.jpgといった按配である。
おっと、おかしな自己愛趣味に走ってしまった。もう寝る。