剿滅せねばならぬ

問題はなぜ誰もこれを引用しないのか、である。

吾輩の尊敬する筋向の白君などは逢う度毎に人間ほど不人情なものはないと言っておらるる。白君は先日玉のような子猫を四疋産まれたのである。ところがそこの家の書生が三日目にそいつを裏の池へ持って行って四疋ながら棄てて来たそうだ。白君は涙を流してその一部始終を話した上、どうしても我等猫族が親子の愛を完くして美しい家族的生活をするには人間と戦ってこれを剿滅せねばならぬといわれた。一々もっともの議論と思う。

文体で見当が付くであろうので、出典は書かない。

ジャクチューギョーサイ

上野の国立博物館にて「若冲と江戸絵画」展を観る。平日の午前中だというのにすごい人出であった。展覧会順路逆走を趣味とするオレにはやや辛い環境。ゆえに詳しい感想は書けないが、若冲はピクチャレスクな作品ばかりを描いていたわけではないことが判った。伝暁斎の「達磨図」があったのも収穫。

フランス

シラクのフランス (岩波新書)

シラクのフランス (岩波新書)

昨日読了。7月の大乱調をあいだに挟んだので、難しい本でもないのに、2ヶ月もかかってしまった。ミッテラン以降のフランスの政治史、政治体制の変遷が綺麗にまとめられている。直前に内田樹ユダヤ文化論を読んだためか、両者に共通する部分が目に付く。ジャン=マリ・ルペンが大統領選挙の決選投票に進み、『ユダヤ的フランス』がベストセラーになる反知性的な国、フランス。このフランスが、われわれの知るフランスと同じ国なのか。
と、日本もまた諸外国人に思われているのだろうなあ。