電脳筒井線
『電車男』のヒットやライブドアパブリッシングの設立やココログブックス・コンテストめぐるトラブルといった耳目を集める話題が多いためか、ネット発の出版物について語られる機会が増えているが、『電脳筒井線』に触れているひとが少ないのはなぜだろう。アスキーアートも含めてパソコン通信の会議室の雰囲気が忠実に再現されているあたり、『電車男』の先駆と言ってもいいのだが*1。『朝のガスパール』が連載されていたころのオレはネットを利用しておらず、ゆえに『電脳筒井線』のもとになった会議室にも参加していないのだが、それでも『朝のガスパール』とは無関係な独立した著作として面白く読めた。
ちなみにこの本は、どういうひとがどんな発言を繰り返すとネットが「荒れる」のかに関する、興味深いケーススタディにもなっている。竹熊健太郎が太宰治の「如是我聞」を「ネット論争の教科書になるかも」と紹介しているが(これにはかなり同意)、『電脳筒井線』もぜひどうぞ。
電脳筒井線―朝のガスパール・セッション
電脳筒井線―朝のガスパール・セッション〈PART2〉
電脳筒井線―朝のガスパール・セッション〈完結編〉
*1:なお『朝のガスパール』と『電脳筒井線』については、Wikipediaの解説に詳しい
経済オンチ
- 作者: ノマディック
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ところでいまさらのようにid:gotanda6:20050211#ochimasatoに便乗するが、単なる無駄遣いを「自分へのご褒美」、役に立つかどうかさだかではないことを必死で勉強するのを「自分への投資」と呼ぶのも、「失笑瀕死語」だよな。じつは上の本でも、「自分への投資」が若干ネガティブな調子で取り上げられているのだが。
あとは政治について語るとき、「私は特定の政治思想や政治団体に加担する者ではない」といちいち断りを入れるのも、個人的にはかなり恥ずかしい振る舞いだと思っている。これはid:sarutora:20050219#p1、id:sarutora:20050220#p1で論じられている「『反戦』て言ったら負けかな、と思ってる」問題にも通じることだが。