立ち

id:suitou:20041119#p1を読んで、ちょっと驚く。オレはどんなに好きな小説でも最初から最後まできちんと再読するのは稀で、気に入っているシーンだけをぺらぺら読み返すことが多い。そんななか、太宰の『斜陽』は珍しく丹念に再読している部類に入るのだが、上の日記を読むまで、冒頭のシーンで「お母さま」が立小便しているとは気付かなかった。いや、小便しているのは覚えているのだが、座っていると思い込んでいたのだ。慌てて青空文庫で確認すると、たしかに立っている。


「かず子や、お母さまがいま何をなさっているか、あててごらん」

 とおっしゃった。

「お花を折っていらっしゃる」

 と申し上げたら、小さい声を挙げてお笑いになり、

「おしっこよ」

 とおっしゃった。

 ちっともしゃがんでいらっしゃらないのには驚いたが、けれども、私などにはとても真似られない、しんから可愛らしい感じがあった。
ここまではっきり「ちっともしゃがんでいらっしゃらない」と書かれているのに、座っていると思い込んでいたあたり、ジェンダー的な偏見はいろんなところで現われるのだなあ、と。ぬるい文章ですみません。

ミスコンふたたび

昨日から引き続いてミスコンの話なのだが、東京大学Miss and Mister Contest 2004にノミネートしているハンガリーからの留学生、ヨレス・ダヴィドさんのプロフィールはなかなかに興味深い。「最近はまっていること」が「全日本ボディビル大会」で、「所属サークル、部活」が「運動会ボディビルアンドウェイトリフティング部」のあたりで、「オレはこいつとは仲良くなれそうにない。共通点は身長ぐらいだ」と思ってしまう。しかし趣味が「筋肉トレーニング、読書、映画」で、雲行きが怪しくなってくる。そして「尊敬する人」が「ARTHUR C.CLARKE」で、「好きな番組・雑誌・本・映画」が「2001年宇宙の旅」といたっては、「おお、こいつはSF者だ! だったらオレとも仲良くなれる!」と急に親しみが湧いてしまうのだ。

しかし日本のSF系読書サークルに入っている大学生で、趣味がボディービルだというひとはあまりいないだろう。この辺、各国のサブカル事情の違いを示している。

クラークが好きでボディビルを愛好している日本人といえば三島由紀夫を思い出すわけだが、彼もハンガリー人だったら、「クラークが好きなオレ」と「ボディビルが好きなオレ」のギャップに悩むことなく、長生きできたのかもしれない。