立ち

id:suitou:20041119#p1を読んで、ちょっと驚く。オレはどんなに好きな小説でも最初から最後まできちんと再読するのは稀で、気に入っているシーンだけをぺらぺら読み返すことが多い。そんななか、太宰の『斜陽』は珍しく丹念に再読している部類に入るのだが、上の日記を読むまで、冒頭のシーンで「お母さま」が立小便しているとは気付かなかった。いや、小便しているのは覚えているのだが、座っていると思い込んでいたのだ。慌てて青空文庫で確認すると、たしかに立っている。


「かず子や、お母さまがいま何をなさっているか、あててごらん」

 とおっしゃった。

「お花を折っていらっしゃる」

 と申し上げたら、小さい声を挙げてお笑いになり、

「おしっこよ」

 とおっしゃった。

 ちっともしゃがんでいらっしゃらないのには驚いたが、けれども、私などにはとても真似られない、しんから可愛らしい感じがあった。
ここまではっきり「ちっともしゃがんでいらっしゃらない」と書かれているのに、座っていると思い込んでいたあたり、ジェンダー的な偏見はいろんなところで現われるのだなあ、と。ぬるい文章ですみません。