J'ai trente-sept ans

金井美恵子の『文章教室』には、売れない純文学作家がいまの自分と同じ年で大作家が何を書いたのかを確認しては一喜一憂するシーンがあったと記憶する。大学生だったオレには、単に滑稽なエピソードだとしか思えなかった。
細野晴臣は35歳か36歳のころに、「自分の中で足りないものって何ですか?」というアンケートに対し、「年相応の自覚。(例えば、自分はオトナである。だから、自分はエライとかの)」と答えている。これは中学生だったオレにはまったく意味が理解できない発言だった。
しかし最近になってから『文章教室の』の登場人物や細野晴臣の気持ちもだんだん判るようになってきた。これがつまり「年相応の自覚」というやつなのか。そんなオレは今日から37歳。

文章教室 (河出文庫―文芸コレクション)

文章教室 (河出文庫―文芸コレクション)