原作って何だ?

仕事から一時的に解放され、数週間(!)ぶりに近所の書店をぶらつく。「なんでいまさら平積みになっているのだろう」と思った漫画はだいたいもうすぐ映画が公開される作品で、自分がすっかり時間の流れから取り残された気分になる。「ヱヴァンゲリヲン」が公開されるまで、あと1ヵ月強か。
ところでWikipediaか何かに書いてあったが、最近の若いファンの一部は貞本版(漫画版)の「エヴァ」を、庵野版(アニメ版)の「エヴァ」の原作だと勘違いしているとか。それは逆ではないかと怒ってしまえるのは年長者ならではの特権と勘違いで、最初からメディアミックスを狙って作られた作品では、何が「原作」なのかを同定しても意味がないのかもしれない。たとえば「パトレイバー」がいい例だ。
いや、話はアニメにかぎらない。もしヴェルディがオペラ化しなかったら、デュマ・フィスが「大デュマの息子」以上の文学史的なポジションを与えられていたかどうか、疑問ではある。だいたいオペラとは関係なく、独立した文学作品として『椿姫』を読むやつなんているのだろうか。だいたい独立した文学作品として読んで面白いのか、あれは(と、読んでいないことをはしなくも露呈させる)。
いきなり極端かつそれまでとは関係の薄い例を挙げてしまったが、物語芸術において「原作」の持つ価値なんてどのくらいあるのだろう、と思ってしまうのであった。