「赤い」を「赤ひ」と書いてしまふうつかりさんはむかしからゐた

安田敏朗『「国語」の近代史』(ISBN:4121018753)、読了。さまざまな事実を列挙するのにせわしなく、全体として著者が何を言わんとすることが伝わらなかった。いや、伝わりはするのだが、それは「日本語の表記はきわめて恣意的で、『正しい』日本語などはない」という、知っているひとなら知っていることを再確認しているだけで、そこから先の踏み込みが甘いような。あとはなぜいわゆる「旧かな・旧漢字」が「『正しい』日本語」として一応は定着したのか、その過程がよく判らなかった。
ともあれ戦後になってから「民主的な」国語改革を推し進めた面々も、戦前に「皇国にふさわしい」日本語を作り上げようとした面々も、根本にあるメンタリティーはさほど変わらない(人脈的にも意外と繋がっている)のが確認できたのは大きな収穫。
なんか歯切れの悪い文章だな。まあ、いいか。