アングロ・サクソンと音楽

もう10日くらい前になるが、「ある種のインテリ文化系男子のあいだでは、『黒人音楽は白人音楽よりも優れている』という前提が無自覚に共有されているのではないか」と問うた友人がいた。オレはインテリでも文化系でもなく、所有しているすべてのCDのうちで黒人音楽が占める割合も高くないが、それでもたしかに「ブラック・ミュージックに勝るものはない」という思いをどこかに引きずっている。
というか問題は白人全体ではなく、アングロ・サクソンなのだ。18世紀なかばから20世紀前半のいわゆる「クラシック音楽」全盛期に、アングロ・サクソンからはあまり大した作曲家は登場しなかった。もちろん皆無ではないが、ラテン、ゲルマン、スラヴなどに較べればはるかに見劣りする。
そして20世紀後半、ポピュラー音楽の世界でアングロ・サクソンは世界を制するが、この革命は自力でなされたものではない。アフロ・アメリカンの音楽の「おいしい」部分を簒奪することで彼らの音楽は成り立っており、ここには植民地主義的な問題が見え隠れしている。こうした背景が無意識的に頭のどこかに刷り込まれているからこそ、インテリ青年は「アングロ・サクソンは音楽的にひとり立ちできない駄目なやつら」と感じるのかもしれない。
以上、結論らしい結論も決めず、これといった資料も見ないで書き殴った文章なので、あまり真面目に反論なさらぬよう。