太宰再入党

絓秀実(文字化けしていたら申し訳ない)『1968年』(ISBN:4480063234)をようやく読了。著者の個人的見解が強く押し出されており、おまけに耳慣れない人名や団体名が飛び交うので、いささか消化不良気味。オレの知識不足が悪いのだ。ちなみに読んでいていちばん驚いたのは、下の一節。

 戦後共産党の幹部であり、その文化部門の責任ある地位にあった増山太助の『戦後期左翼人士群像』によれば、太宰治は戦後すぐに共産党に(再)入党している様子である。(112ページ)

オレは太宰愛好家で、伝記的事実にもそれなりに詳しいと自負していたが、まったくの初耳であった。たしかにこれが事実だとしたら、「その文学に対するイメージも大きく変更を余儀なくされるに違いない」。
あとは三島由紀夫の死を境にして、多くの新左翼新右翼偽史-偽書の研究にのめり込む過程を分析した第4章「ヴァーチャルな世界のリアルな誕生」が面白かった。しかしこの章も吉本隆明中野重治を分析した後半と前半がどう繋がるのか、つかみ切れなかった。やはりオレは頭が悪い。