われはSF

SF魂 (新潮新書)

SF魂 (新潮新書)

一読して感じるのは、みずからを「作家」ではなく「SF作家」と規定する小松左京の強烈な自負、自意識である。日本のSF作家で、こんなにSF的な要素の少ない小説を書いていないひとは珍しいのではないか。そしてオレが星新一筒井康隆ほどには、小松作品に熱中できなかった理由もここにある。オレは「SF小説」ではなく、「SF作家が書いた小説」が好きなのだ、たぶん。それにしても第1章で回顧される、学制改革があったあために1年かぎりで終わってしまった旧制高校時代の生活の眩しさ! 羨ましさ!