21世紀的文学少女

若年者向けの推理小説としては中の上といった出来栄え。体言止めが少なく、センテンスがほどよく長いので読みやすい。ライトノベルというと、体言止めだらけで、センテンスが極度に短いイメージがあるのだ。無知ゆえの偏見だが。
なお主人公は文字が書かれた紙以外は食べない「妖怪」なのだが*1、その容貌は下のように描写されている。

 まっすぐでほっそりした体。白い額にかかるサラサラの黒髪。猫の尻尾のように風に踊る長い二本の三つ編み。知的に澄んだ眼差し――。

21世紀になっても、文学少女の表象はやはり変わらないということか。あるいはこのような容貌の文学少女は、もはや妖怪としてしか存在しえないということか。あ、引用したくだりは体言止めだらけだね。

*1:彼女によれば「ギャリコの物語は、火照った心をさまし、癒してくれる最上級のソルベの味」で、フィッツジェラルドは「歯をあてると繊細な薄皮がぷちんとはじけて、薫り高い液が舌の上にこぼれてくる」「華やかな味」だそうだ。