冥王星に寄す

SF小説ではしばし冥王星が太陽系外への宇宙旅行の拠点として描かれるが、これはおかしい。太陽系からもっとも近い恒星(アルファ・ケンタウリ)との距離を測れば地球も冥王星も大差なく、地球に住んでいる人間が冥王星経由で太陽系外に出るのは、大阪に住んでいる人間が東京経由でニューヨークに行くようなものだ。そもそもアルファ・ケンタウリは太陽系からすれば垂直に位置するのであって、冥王星の「外」にあるのではない。
というのはもちろんオレの独創ではなく、SF作家の堀晃がかつて『マッド・サイエンス入門』(ISBN:4101424020)という著作で述べていたことだ。この指摘でオレが面白いと思ったのは、アルファ・ケンタウリは冥王星の「外」にはないという点。2次元(地球)のアナロジーで3次元(宇宙)を捉えると、思わぬところで破綻を来たすのであった。