鰯の頭も……

これは昨夜の話になるが、風呂から上がったオレは居間の畳の上にギーガーがこっそり忍び込んだのではないかと思えるくらい不気味な物体を見つけた。当初は直視することすらはばかられたのだが(そのくらい気持ちが悪かったのだ、造形的に)、落ち着いて眺めたら、さっきまで食べていた鰯の頭であった。これを台所の三角コーナーに捨てたところ、馬鹿猫が匂いに釣られて運び出し、食べられる部分がほとんどないと気付いて放り出したと思しい。
まったく同じものが皿の上に置いてあるときはプラスの有徴性を帯び、ゴミとして捨てた途端に無徴となり、畳の上ではマイナスの有徴性を帯びるとは、われわれが世界を認識する方法がいかに文脈依存的であるかを示している。