ツンデレ椎名林檎

椎名林檎に「時が暴走する」(ASIN:B000059O0X)というあまりメジャーではない作品がある。この曲の間奏には、モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番イ長調(K331)の第1楽章が唐突に挟まれる*1。子供のころからクラシック・ピアノを学んでいた者なら一度は練習するはずのこの曲を椎名林檎が弾かなかったことはまずありえず、おそらくはレコーディング中の息抜きにぽろりと爪弾いたのが、そのまま正式なテイクとして採用されたのだろう。全体に緊張感に満ちた息苦しい音楽である「時が暴走する」にひょっこりと顔を出す、モーツァルトの古雅な旋律。これぞツンデレではあるまいか。

*1:ちなみにこの曲の第3楽章が、有名な「トルコ行進曲