エノタケ

何年も前に古書店で買い求めたのに、なぜか放っておいた*1安部公房榎本武揚』(ISBN:4122016843)を読み始める。オーソドックスな歴史小説なのかと思っていたのだが、現代と過去が錯綜する構成や、複数の文体を織り交ぜる語り口は、やはりこのひとならでは。ぐいぐいと読ませる。
ところでこの小説に登場する新撰組の浅井十三郎は実在の人物なのだろうか。google:浅井十三郎で検索すると、同姓同名の詩人ばかりがヒットする。しかしleoleoleo1920さんの『監獄の誕生』のレビューには、

榎本武揚』が上演されたのは昭和42年。そう、この戯曲は司馬遼太郎の『燃えよ剣』を受けて書かれたのです。いたるところに『燃えよ剣』に対する意地の悪い当てこすりがちりばめられていました。司馬遼太郎に個人的な恨みでもあったのかな? と思わせるくらい陰険なやり方でした。登場人物の新撰組組員、浅井十三郎はとんでもなく滑稽な人物として描かれ、反対に榎本はあまりに先進的だったために理解すらされなかった先駆者・・・。司馬遼太郎とはなにから何まで逆です

とある。ううむ。

*1:小説や教養系の新書は、買ったその日に読み始めないと、いつまで経っても読まないことが多い。