雨の戸

引越し当日にあったほうが便利な小物を江古田駅前の100円ショップやコンビニで買い込み、新居へ。下見に行ったときには気付かなかったのだが、立派な雨戸が据えつけられている。オレの出身地である新潟県は、雨戸の取り付け率が極端に低い。ゆえに高校を卒業するまで、雨戸がどんなもので、何のために使うのか、いまひとつ理解できずにいた。雨戸の実在を疑っていたと言ってもいい。おかげで今日のように雨戸を閉め切った部屋のなかでひとりでいると、用途がまるで判らない機械を手渡されたような、まったく経験のない仕事をいきなり頼まれたような、落ち着かない気持ちになる(それではなぜ開けなかったのか、と言われそうだが、開けかたが判らなかったのだ。それくらいオレは雨戸とは縁のない生活を送ってきたのである)。
発言小町によれば、新潟だけではなく北国は全般に雨戸が少ないようだ。おそらく雨戸は実質的には「風戸」であり、台風がたまにしか来ない地方では取り付ける意味がないのだろう。
どうでもいいが「雨の戸」と書くと、武満徹の曲めいている。