くりえいちぶ幻想

滅多に作品を発表せず、ベストセラーとも縁がないが、一部では熱心に支持されている小説家や漫画家がいる。そのたびに「このひとはどうやって生活しているのだろう」と思い、著者インタビューのたぐいを読んで、「じつはサラリーマン」「じつは大学教師」「じつは主婦」という事実を知り、「なんだ、そうだったのか」と肩を落とす、という経験が若いころにはあった。くりえいちぶな仕事をしているひとは、きっとそれだけで勝負しているに違いない、みたいな思い込みがあったのだろう。この件についてはもう少し深く掘り下げて書きたいことがあるのだが、よほど慎重に書かないとあらぬ誤解を招きそうなのでやめておく。