サエキゆうぞう

練馬区立美術館の佐伯祐三展に足を運ぶ。佐伯祐三といえば1920年代のパリの風景を神経症的でとげとげしいタッチで描き、精神を病んで30歳で亡くなった薄倖の画家というイメージが強いが、日本に一時帰国し、下落合に住んでいた時期の作品はきわめて穏やか。何よりもパリ時代とは異なり、人物を表情まで丁寧に描いているのが印象に残る*1。彼にこのような作品があるとは知らなかった。これらの絵が観られただけでも、よい展覧会であった。

*1:「郵便配達夫」「ロシアの少女」などを除けば、パリ時代の作品では人物は風景の添えもののようにしか描かれていない。たとえばgoogle:image:佐伯祐三を参照のこと。