カワマコ

今日、カラオケで川本真琴を久しぶりに聴く。椎名林檎が登場したおかげでいちばんわりを食ったのは、おそらくはこのひとなのではあるまいか。以下、細かな実証は抜きにして話を進めるが、戦後の日本のポピュラー音楽シーンは、「クラシック音楽の素養がある不思議ちゃん」をつねに求めていた。たとえばデビュー当時の矢野顕子は、おそらくはそのような存在として受容されていたのであろう*1。そして矢野顕子が「まっとうな大御所」へのステップを歩み始めたあと、「クラシック音楽の素養がある不思議ちゃん」はしばらく大空位時代が続く。そこにタイミングよく現れたのが川本真琴だったわけだが、2年後には椎名林檎というより強烈な個性を持つ「不思議ちゃん」が現れ、川本真琴の存在感は急速に薄れていく。
少なくともオレのなかでは上のような図式(むしろ脳内妄想というべきか)が出来上がっているのだが、どのくらいの妥当性を持っているのだろうか。オレの知るかぎりでは、椎名林檎川本真琴矢野顕子と結び付けて論じた、まとまった文章を目にした記憶がない(増田聡氏がむかしの「ロック少年リハビリ日記」で、ちょっと言及していた覚えはあるのだが)。

*1:なおデビュー当時の矢野顕子を高く評価していたのは、筒井康隆山下洋輔であった。