梅田望夫「ウェブ社会[本当の大変化]はこれから始まる」

http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u105.html
MM/Memoでも簡単に書いたけど(ほら、はやくも使い分けができなくなっている)、「普通の人が何かを表現したって誰にも届かな」かった20世紀末が、いまとなっては懐かしい。「固定ファン」にしか読まれておらず、そこから先の展開があまりなかった個人サイトを長く続けてきた身としては、Web 2.0やらブログ2.0やらの時代に入ってから、メタデータを収集・検索するサービスやツールが増え、おまけに「はてなダイアリー」というSEO効果に優れたサービスを利用するようになったため、自分の声が遠くに届きやすくなりすぎ、何の気なしに書いたテキストが思わぬところで補足されるようになったことに戸惑っている。
いや、正直に言えば2004年の4月から2005年の4月ぐらいまでは、戸惑ったりしてはいなかった。「届きやすくなった」ことの快感に酔い、ある種の狂騒になかば積極的に巻き込まれていた。しかしその熱狂から醒めたいま、「何をやっていたのだ、オレは」といささか空しくなってしまう*1。たとえば個人サイトの運営歴が長いひとであればあるほど、身辺雑記的な文章はmixiで書くようになったのも、「届きやすくなった」ことへの戸惑いの反映なのかもしれない。
なおオレは梅田氏の記事のタイトルにある「大変化」を、最初は「たいへんか」と読み間違えのだが、これは本当に「大変」化なのである。それにHTMLを手動で入力して、FTPクライアントソフトでファイルをアップロードするという、古式ゆかしい「個人サイト」のなかにある「良質なコンテンツ」が、どんどん目立たないところに追いやられてしまうのではないかという危惧がある。一例を挙げれば、ミステリ作家の殊能将之a day in the life of mercy snowなど。

*1:「ある種の狂騒に巻き込まれていた」ときに知り合ったひととの出会いは無意味だった、と言いたいわけではもちろんないよ。