狂いドラ

ドラえもん プラス (1) (てんとう虫コミックス)

ドラえもん プラス (1) (てんとう虫コミックス)

藤子不二雄*1への愛着が深すぎるあまり、かえって「ドラえもん」を正当に評価できなくなっているひとは多いかもしれない(というか、オレがそうなのだが)。これまで単行本に収録されなかった作品を集めたこの短篇集は、藤子不二雄の「黒い」側面を愛してきた読者にとっては喝を癒す1冊となるだろう。特に1970年代前半の作品が素晴らしい。「おいかけテレビ」あたり、ほとんど筒井康隆である。
あとはタイムパラドックスの問題に正面から取り組んだ作品が目立つのが印象的。神なき時代に生まれた近代人が、「『私』が存在しなくなったあとも、『時間』は存在するのか」という問題に真正面から取り組むと、必然的に唯我論やらタイムパラドックスといったSF的なテーマに引き寄せられるのではないか。大袈裟すぎると嘲りたいやつは嘲れ。
まあ、こういう企画が成り立つようになったのは、ひとえに変ドラページ「なんだこりゃ?」のおかげかもしれないが。

*1:口が裂けても、「藤子・F・不二雄」などとは言うまい。