オタクとげんしけん

げんしけん』第5巻(ISBN:4063211649)を読む。これまではオタク文化を消費する一方だった「げんしけん」の面々が、ついに同人誌即売会への出品という「生産」にかかわるエポックメーキングな巻なのだが、最後の最後に「やはり自分たちにはこういうのは向いていない」という引き下がってしまうのが、いかにもこの作品らしい。

オレはこの作品を「オタク向けの漫画」ではなく、「(現代的かつ、それほど「濃い」ほうではない)オタクを描いた漫画」として捉えているので、過去のオタク向けの漫画と比較してどうこうといった議論には、まるで興味が持てない。強いて言えば、「スピリッツ」に進出した当初の山本直樹作品や、文化系サークルにたむろする冴えない高校生や大学生を描いた初期の大友克洋作品を思わせる。