4'33"

ケージの「4分33秒」を自分で演奏してみよう、というくだらないことを思い付く。演奏といっても録音機能がある波形編集ソフトを使って、4分33秒の無音のファイルを作っただけだが。CubaseなりPro Tools FREEなりを使えば、演奏時間がぴったり4分33秒のWAVEファイルを1分程度の作業で切り出せるのかもしれないが、それでは面白くない*1。ゆえにソフトの録音ボタンを押して、4分33秒が経過するのをひたすら待つ。この体験がスリリングで、間違って録音停止ボタンを押したらどうしよう、途中でソフトがフリーズしたらどうしよう(オーディオデータの録音は、意外とCPUの消費量が大きいので)と、ひとりで気を揉む。ああ、こうやって気を揉んだり、「オレって何をやってるんだろう」という空しさに襲われる経験そのものが「4分33秒」的なのだな、と実感する。

それにしてもオレがやった行為は「録音」なのか、それとも「演奏」なのか。オレとしてはソフトの録音ボタンを押して、しかるべき時間が経過したら停止ボタンを押すという行為は立派な「演奏」なのだが、それを録音と受け取るひともいるだろう。いずれにしても「4分33秒」はJASRACに録音権も演奏権も信託されているので、オレがこのファイルを公衆に送信可能な状態にしたら、いろいろと問題が起こるわけだが。でも問題を起こしたい気がしなくもない。

ところで米アマゾンで「4'33"」を検索すると、演奏時間が4分33秒のクラシックの楽曲が何でもかんでも見付かってしまう。すげえ。

*1:いまの作業環境はWindowsがメインなのだが、Mac版のCubase(おまけにいまだにCubaseVST 5.0r1だ)しか持っていない、という事情もある。