ジャーゴンと専門用語

ジャーゴンと専門用語の違いが気になったので、自分なりの考えをまとめておく。ほかの言葉に言い換えられるもの、言い換えても意味が通じるものはジャーゴン、ほかの言葉に言い換えるのが難しいもの、言い換えると意味が判りづらくなるものは専門用語、と定義しても差し支えないだろう。たとえば「ウェブが重くなる」の「重く」や「掲示板荒らし」はジャーゴン、「RSS」や「トラックバック」は専門用語となる。ここまではあまり異論はないと思う。さらに踏み込むなら、「トラックバックを送信する」や「トラックバックを送る」はともかく、「トラックバックを投げる」や「トラックバックを打つ」は、オレの言語感覚ではジャーゴンとなる。


パソコン関係、特にインターネット関係の書籍は初心者向けになればなるほど、専門用語を避け、ジャーゴンを多用する傾向がある。しかし一般にジャーゴンは寿命が短く(なかにはそのまま専門用語として定着するものもあるが)、特定のコミュニティーのなかでしか通用しない。

初心者には理解しづらい事柄を簡潔に表現するには、たしかにジャーゴンは便利だ。しかしその場合も、「掲示板やブログのコメント欄で、意味不明な投稿や個人攻撃を目的とした投稿を繰り返すひとを、俗に『荒らし』と呼んでいます」のように、まずジャーゴンの指し示す対象を明示し、その後も「いわゆる『荒らし』は」のように、カギカッコ付きで表記するのが望ましい。

このところ、「けっこういい本だな」と思った書籍にかぎってジャーゴンへの依存率が高く、「もったいないなあ」と感じる機会が増えたので、わざわざこんなことを書いてみた。まあ、オレの本が「ジャーゴンの罠」から逃れているかどうかというと、はなはだ心許ないのだが。